法人が寄付をした場合は?
法人が寄付をした場合は?
法人が国または地方公共団体、公益社団法人や神社等に寄付をする場合があります。この場合、会計処理としては 雑費/現金預金 などの 仕訳を切り全額費用になると思われますが、法人税法上ではこの寄付した金額が費用(損金)として認められるかが問題となります。
なぜかと言いますと法人が支出した金額のうち法人税法上で費用(損金)として認められるためには、大前提として事業に関係のある支出である必要があるからです。寄付をする行為自体は素晴らしいのですが、寄付する/しない だけでなくその相手方、金額も自由に決定することができるため、ある意味で利益を操作することができ租税回避に利用されてしまう側面があります。
そのため法人税法37条等において、対象となる「寄付金の額」および「法人税法上で費用(損金)として認められる限度額」などが規定されております。
この限度額の計算には、以下の2点に気をつけて行います
- 寄付をした相手方
寄付をした相手方が「国・地方公共団体」などの公益性が非常に高いもの(指定等寄付金)、「特定公益増進法人」として指定されているもの(特定寄附金)、「それ以外」(一般寄付金)の3種類に区分されて計算を行います。
このうち国等に対するものは全額が損金として認められ、逆にそれ以外に対するものはほとんど認められず、特定公益増進法人に対するものはその中間とお考え下さい。
- 寄付金をした相手方から日付、相手方名、金額、寄付をした旨を記載された受領証をお預かりしているか
経理資料としての証憑として保存が必要なのはもちろんですが、特定公益増進法人などに対する寄付については一般の寄付金とは異なり、当該法人にあたるので税制上の優遇措置が受けられる旨の記載がされていることがあります。
なお、法人税法では低額譲渡を行った場合、通常の取引価額と実際の授受価額との差額が実質的な寄付とみなされて、上記規定が適用される場合もありますのでご注意ください。
参考:法人税法37条、法人税法施行令73条、租税特別措置法66条
国税庁HP No.5281 寄付金の範囲と損金不算入の計算
大阪の税理士 杉本会計事務所
大阪市東住吉区杭全3-4-4
業務部法人第二課 監査担当 泉徹弥