欠損金が生じた際の繰戻し還付について
青色申告のメリットの一つである繰戻し還付についてご存知でしょうか?
欠損金の繰戻し還付とは、欠損金が生じた場合に、その欠損金を還付所得事業年度に繰り戻して、既に納付済みの法人税・地方法人税の還付を受けることができる制度です。還付所得事業年度とは、欠損金が生じた事業年度(欠損事業年度)開始の日前一年以内に開始したいずれかの事業年度をいい、事業年度が1年(12か月)の場合には前事業年度がこれに当たります。
地方税には、繰戻し還付の規定がないため、地方税では税金は還付されず、翌期以降の課税標準から控除されます。したがって、法人県民税・法人事業税・法人市民税は、翌期以降の課税標準から控除されます。
法人税及び地方法人税の還付請求額は、次の算式で計算します。
<還付請求額の計算>
〇法人税
還付所得事業年度の法人税額 |
× |
欠損事業年度の欠損金額※ |
還付所得事業年度の所得金額 |
(※)欠損事業年度の欠損金額は、分母の還付事業年度の所得金額が限度とされます。
〇地方法人税 法人税の還付請求額×3%
<適用要件>
次の場合に応じて、それぞれ次の要件をすべて満たさなければなりません。
1 青色申告書を提出する法人の欠損金の繰戻しによる還付の場合
(1) 還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出していること。
(2) 欠損事業年度の青色申告書である確定申告書をその提出期限までに提出していること。
(3) 上記(2)の確定申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること。
2 解散等の事実が生じた事業年度の欠損金の繰戻しによる還付の場合
(1) 還付所得事業年度から欠損事業年度までの各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出していること。
(2) 解散等の事実が生じた日から1年以内に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること。
3 災害損失欠損金額の繰戻しによる還付の場合
(1) 還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について連続して確定申告書を提出していること。
(2) 欠損事業年度の確定申告書または仮決算による中間申告書を提出していること。
(3) 上記(2)の確定申告書または仮決算による中間申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること。
大阪の税理士 杉本会計事務所
大阪市東住吉区杭全3-4-4
業務部法人 第3課 監査担当 加藤隆太