COLUMN

コラム

税務・会計
2024.06.07

不動産取得時の会計処理について

不動産を購入する際には様々な費用が発生しますが、取得価額に算入し資産として計上するものと、損金として計上できるものがあります。損金とする場合は、事業年度に支出した全額を損金としますが、資産として計上する場合、減価償却により損金に計上します。そのため、支払った内容を資産として計上するか、損金として計上するか把握する必要があります。

以下が不動産を購入する際の代表的な費用となります。

 

  • 資産として計上する費用

・購入代金

・仲介手数料

土地と建物を一括して購入した場合には、土地と建物の購入価格の比率や固定資産評価額の比率など合理的な区分で按分した金額を資産として計上します。

・固定資産税清算金※

 不動産の売主側は固定資産税の負担分を売却代金に含めるため、取得時には資産として計上することになります。

※固定資産税清算金について

固定資産税は1年分の税金をまとめて支払うため、年度の途中で売却しても納税義務者は変わりません。そのため、売主は所有権がないにも関わらず納税義務が残り、不平等が生まれます。

そこで不動産の売買を行うときに、不動産にかかるその年の未経過分の固定資産税及び都市計画を所有日数に応じて買主が売主へ支払うことがあります。これを固定資産税の清算と言います。

清算の方法としては、一般的に「起算日」を基準に日割り精算を行います。起算日は通常、「11日」または「41日」の2種類とするのが一般的で、どちらにするかは特にルールはありません。不動産業界では関東圏で11日、関西圏で41日とする傾向がありますが、最近では11日を起算日とするケースが多いようです。

 

  • 資産に計上しないことができる費用(具体例)

・不動産取得税

・登録免許税、その他登記又は登録に要する費用

・建物の建設等のために行った調査、測量、設計、基礎工事等でその建設計画を変更したことにより不要となったものに係る費用

・いったん結んだ不動産の取得に関する契約を解除して、他の不動産を取得することにした場合に支出する違約金

・不動産を取得するための借入金の利子(使用を開始するまでの期間に係る部分)

 

  • 判断が分かれる費用:建物の修繕・リフォーム代

建物の修繕費・リフォームに係る費用は、その内容により損金として計上するものと資産として計上するものに分けられます。

〇損金として計上する費用

維持管理・原状回復のために支出したと考えられる修理は損金として計上します。

以下のようなケースが該当します。

・雨漏りしている屋根の修繕

・部屋のクロスの張替え・クリーニング代

・古くなった畳の張替え

・外壁の塗り替え

 

〇資産として計上する費用

修理した内容が、耐用年数を延長させる場合や、価値の増加につながる場合、資産として計上します。以下のようなケースが該当します。

・避難階段の取り付けなど、物理的に付け加えた部分の金額

・用途変更のための模様替えなど、改造や改装に直接要した金額

・不動産の部分品を特に品質や性能の高いものに取り替えた場合で、その取替えの金額のうち通常の取替えの金額を超える部分の金額

 

  • その他間違えやすい費用

〇地鎮祭に係る費用→資産として計上

建物の完成前に発生する支出のため、資産として計上します。

〇建物の落成式に係る費用→損金として計上

建物の完成後に発生する支出のため、損金として計上します。

〇住民対策費→損金として計上

工事をスムーズに進行させるために、特定の人に支払う一種のなだめ料のようなものに該当するため、交際費として損金として計上します。

 

不動産を購入する際は税金や経費の取り扱いの知識が必須となりますが、実際の経理処理や税務は内容が複雑な場合が多くあります。是非一度税理士事務所へご相談くださいませ。

CONTACT

ご相談・ご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

訪問・ご来所・ZOOM面談対応!