大阪・関西万博 入場券購入費用の取扱い
2025年4月13日に開幕する2025年日本国際博覧会(通称「大阪・関西万博」)の入場券の購入に係る費用の税務上の取扱いが国税局から公表されました。今回は、その中でもチケット購入費用の取扱い及び、消費税の仕入れ税額控除についてご説明いたします。
- 取引先等へ交付する目的で購入した場合
国税庁のホームページでは次のように記されています。
「法人が販売促進等の目的で当該入場券のみを取引先等に交付する場合の当該入場券の購入費用は、交際費等に該当せず、販売促進費等として処理する。」
通常、販売促進費というと自社製品のサンプルの配布や、キャンペーンの実施等に係る費用などが挙げられます。今回の万博チケットの交付は、野球観戦チケットや遊園地のチケットと同じ部類のものと言え、本来これらは販売促進目的で取引先に配布したとしても、交際費等と考えられるものです。しかし、今回の万博チケットは販売促進費として処理すると明記されていますので、交際費等の枠を気にせず購入することができます。
また、万博チケットの購入は消費税法における「物品切手等」に該当します。物品切手等の発行は不課税とされているため、購入段階で課税仕入れとすることはできません。実際に物品又は役務の提供と引き換えた時に資産の譲渡等として課税の対象になります。したがって、購入時及び交付時ともに「不課税」として処理され、交付された側においてチケットを使用した際に仕入税額控除の適用を受けることができます。
- 企業が福利厚生目的で購入する入場券の費用
国税庁のホームページでは次のように記されています。
「企業等が従業員の慰安会、レクリェーション等として博覧会を見学させる場合の当該入場券の購入費用及びその見学のために通常要する交通費、宿泊費等については、福利厚生費に該当する。なお、従業員の家族を含めて実施した場合も同様とする。」
つまり、社員旅行の目的地として大阪・関西万博のチケットを購入した場合、その往復の交通費や宿泊費も含めて福利厚生費として計上することができます。またこの場合においては自社でチケットを使用するため、使用したタイミングで自社の課税仕入れとして仕入税額控除を受けることができます。
このように、大阪・関西万博では企業が有利になる場面があります。交際費等の枠を気にせず利用できることから、販売促進のツールとして利用する会社があるかもしれません。また、福利厚生目的で大阪へ社員旅行を計画する会社が増えるかもしれません。どちらにしても、万博が盛り上がり成功することに期待したいですね。
参考:国税庁HP「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)に係る費用の税務上の取扱いについて」
国税庁HP「2005年日本国際博覧会の参加者が支出する費用の税務上の取扱いについて」
大阪の税理士 杉本会計事務所
大阪市東住吉区杭全3-4-4
企業第二課 監査担当 大西純平