自公国3党が“103万円の壁”見直しで合意
世間で今話題となっております“103万円の壁”についてご紹介できればと思います。
2024年11月20日に開かれた国会にて自民党と公明党、国民民主党の3党は政府がちかくまとめる新たな経済対策に「103万円の壁」の見直しを盛り込むことが合意されました。
そもそも103万円の壁とはなにかといいますと、「所得税が課税される年収ライン」のことです。年収が103万円を超えると、超えた額に対して所得税が課税されます。 例えば、年収が115万円なら、115万円-103万円=12万円に対して所得税がかかります。12万円に対しては5.21%の所得税がかかるので、6,252円が課税されます。 ちなみに103万円という数字は、所得税の「基礎控除48万円」と「給与所得控除55万円」の合計額です。 さらに、学生やフリーターの方が年収103万円を超えると、親などの手取りが減ってしまいます。 これは子どもなどの年収が103万円を超えると、税制上、親や配偶者の扶養から外れるためです。扶養から外れると親などの扶養者は扶養控除が適用されず、所得税や住民税の負担が増えます。 つまり、103万円を1円でも超えてしまうと、「所得税の課税」と「扶養控除の適用外」で税負担が増え、かえって収入が減ってしまうことから「壁」と呼ばれています。
※上記の内容に関しましては、給与収入のみ場合、他の所得控除がない場合に限ります。
今回の役員会にて、国民民主党は、103万円の壁の見直しに係る所得税の基礎控除などを103万円から178万円に引き上げることを与党に強く求めているようです。そして、その意向を踏まえて、自民党・公明党・国民民主党の3党で協議が行われ、新たな経済対策に「いわゆる“103万円の壁”については、令和7年度税制改正の中で議論し引き上げる」と明記する合意を得ました。引き上げ幅に関しては今後の税制改正の議論により決まると述べています。
また、同日あった3党の税調会長らによる協議では、国民民主党が与党に以下の税制改正の要望を提示しています。
【最重点項目】
- 所得税の基礎控除等の178万円への引き上げ
- 特定扶養控除の年収要件の引き上げ
【重点項目】
- 年少扶養控除の復活
- 扶養控除の維持・拡大
- 消費税5%への時限的引き下げ
- インボイス制度の廃止
これらの改正が実施されることで、社会全体に大きな前向きな影響をもたらすことが期待されます。今後の動向について注目していきたいと思います。
大阪の税理士 杉本会計事務所
大阪市東住吉区杭全3-4-4
企業第五課 監査担当 田中伸子