一億円の壁とは?
「一億円の壁」とは、日本の所得税制において、所得が増えるにつれて累進税率が上がる仕組みにもかかわらず、所得が1億円を超えると税負担が逆に軽くなる傾向にある現象を指します。
これは、金融所得が中心となる富裕層において、株式譲渡益や配当所得が分離課税の対象となるため、累進課税の負担が軽減される仕組みが影響しています。結果として、所得が1億円を超える人の実効税率が低下し、税制の公平性を損なうとして長年の課題となってきました。
■『一億円の壁』への対応策
一億円の壁の現象を是正するため、令和5年度改正で創設された「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置」の適用が令和7年の所得税から開始します。この措置は、令和7年分以降の基準所得金額が3憶3,000万円を超える場合、その超過部分の金額の22.5%に相当する金額から基準所得税額を控除した金額に相当する所得税を追加課税する必要があるというものです。
~対象判定の計算式~
・(基準所得金額―3憶3,000万円)×5%
申告不要制度を適用しないで計算した所得金額で、分離課税対象の所得も含まれる。
・基準取得金額
外国税額控除を適用しないで計算した所得税額(申告不要制度適用分に係る源泉所得税も含む)
①が②を超える場合、超過部分相当の所得税を追加納税
ここでの基準所得金額とは合計所得金額と異なります。(参考:措法41の19②)
■ まとめ:税制の公平性とクライアントの利益を両立
「一億円の壁」への対応策は、税制の公平性を向上させる大きな一歩だと思います。一方で、改正内容を正しく理解し、適切な対応を取ることが、富裕層のクライアントにとっての安心につながります。
私たち会計事務所では、クライアントの利益を守るため全力でサポートいたします。税務や財務についてご不明点がありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
大阪の税理士 杉本会計事務所
大阪市東住吉区杭全3-4-4
企業第五課 監査担当 田中伸子