経費を立替支払してもらった場合のインボイス制度における留意点
インボイス制度が導入されてから1年が経過しました。改めてインボイス制度における留意点について確認したいと思います。
まずインボイス制度において仕入税額控除の適用を受けるためには、一定の必要事項が記載された適格請求書の保存が必要です。
一定の必要事項とは次のことを言います。
①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
②課税資産の譲渡等を行った年月日
③課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
④税率ごとに区分した課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額の合計額及び適用税率
⑤税率ごとに区分した消費税額等
⑥書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称
今回確認したい部分はこの⑥の部分になります。
前提として、取引先に経費を立替払してもらった場合、「取引先名」の宛名の適格請求書が発行されることになります。したがって、立替払を受けた側についてはこの適格請求書を保存したとしても一定の必要事項を満たさないため、仕入税額控除が認められないという事態に陥ってしまうのです。
このケースにおいて仕入税額控除を認められるようにするには・・・
立替を行った者:立替先へ立替金精算書の交付
立替を受けた者:「取引先名」の宛名の適格請求書と立替金清算書を併せて保存
という形で、その課税仕入れが立替により行われたものであることを明らかにする必要があります。
複数の事業者へ立替を行っていた場合については、交付する適格請求書のコピーが大量となるなどの事情により、立替払を行った者がコピーを交付することが困難なときは、立替金清算書に必要事項を記載し、その立替金清算書の保存をもって仕入税額控除を行うこともできます。
このように、インボイス制度が導入されてから仕入税額控除について様々な注意点があります。わからない部分や不安な部分があればいつでもお気軽にご相談ください。
参考:国税庁HP「法令解釈通達/第6節 仕入税額の控除に係る帳簿及び請求書等の記載事項の特例 11-6-2」
国税庁HP「インボイス制度に関するQ&A 問94 立替金」
大阪の税理士 杉本会計事務所
大阪市東住吉区杭全3-4-4
企業第二課 監査担当 大西純平