棚卸資産回転率と売上債権回転率について
企業の収益力を高めるための視点として、棚卸資産回転率、売上債権回転率について解説します。
〇棚卸資産回転率
棚卸資産の滞留状況を示す指標で、次の算式により求めることができます。
棚卸資産回転率=売上高÷棚卸資産
棚卸資産の滞留は、さまざまな問題(品質劣化、陳腐化、保管場所のコスト等)を引き起こす可能性がありますので、滞留期間は極力短い(棚卸資産回転率が高い)方が良いといえます。
ただし、棚卸資産の圧縮が行き過ぎると品不足となり、販売機会を失うなどのチャンスロスが生じるリスクも高くなるため、あくまで自社にとっての適正な水準を意識したいものです。
また、同業他社との比較、自社の過去の実績との比較などで、数値の変化を把握しておくことも重要です。大きな変化が出ている場合は、その要因を追求しておく必要があります。なぜなら、商売のやり方が変わらない限り、数値が大きく変化する可能性は低いからです。
もし商売のやり方が変わっていないのに、回転率が低くなっているような場合は、休眠在庫や不良在庫が発生している可能性が高いといえますので、早急に確認する必要があります。
〇売上債権回転率
売上債権回転率は、販売した商品代金の回収状況を表す指標で、次の算式により求めるこ とができます。
売上債権回転率=売上高÷売上債権 ※
(※)売上債権=受取手形+売掛金
売上債権とは、販売後に現金として未収となっている代金の総額です。一般的に継続的な 取引では、「掛売り」という販売形態が常ですので、現金商売以外の大半の商売で、この売上債権は発生します。
一般的に代金の回収は早い方がよいため、売上高に対して、売上債権が少ないこと(売上債権回転率が高いこと)が好ましいといえます。
ところが、商売をしていると、さまざまな事情 により代金の回収は滞りがちです。未回収の売上債権が増えてくると、当然それだけ貸し倒れとなるリスクも高まることから、できるだけ早く債権は回収するようにしなければいけません。
そのため、売上債権回転率は絶えず意識しておく必要があります。現状の販売状況において適正な売上債権回転率はどの程度なのかを把握し、その適正水準よりも実際の数値が悪化している場合は、その要因を確認しなければいけません。商売のやり方が変わっていないのに、回転率が低くなっているような場合は、営業担当者が(成績を上げるために)無理な販売をしているケースや、取引先の業績悪化などで取引条件どおりの回収ができなくなっている等の可能性があります。
これらは、早めに対処しなければ売上債権が不良債権化し、完全に回収できなくなる可能性もあります。そうなる前に、適切な対応をするためにも、売上債権回転率は注意深くみておく必要があります。
また、万が一、売上債権が不良債権化した場合は、できる限り早く貸し倒れ処理(費用計上)したいものです。貸し倒れ処理をすれば、売上債権回転率は改善します。
棚卸資産回転率や売上債権回転率は、経営の効率性を判断する重要な指標です。これらの数値を適切に把握し、改善を図ることによって、企業の財務基盤の強化やキャッシュフローの安定化につながります。日常の業務の中でこれらの指標を意識し、継続的に改善を目指すことで、より健全な経営が実現できるでしょう。