宿泊税について
- はじめに
皆様は、旅行や出張でホテルや旅館に泊まった際、宿泊料金とは別に『宿泊税』を支払った経験はありませんか? 宿泊税とは、特定の地域で宿泊する際にかかる税金で、主に観光振興や地域の整備に活用されます。弊所がある大阪府においても、宿泊税が導入されており、令和7年2月には、同年9月よりこれまでよりも最大200円の税額の引き上げが行われる予定であることが発表されています。
そこで本コラムでは、そんな宿泊税について解説します。
旅行や出張の際に役立つ知識として、ぜひチェックしてみてください!
- 宿泊税とは?
宿泊税は地方税の一種で、自治体が使途を決めることができる法定外目的税です。都道府県や市町村で導入されています。一般的に、宿泊税を導入している自治体では、観光のための財源として地域の魅力を向上させることを税収使途に挙げるとともに、地域の観光振興や市民生活と観光との調和を図ることを目指すとしています。
- 宿泊税がかかる対象
宿泊税の負担者は宿泊施設に泊まる宿泊者です。課税対象となる宿泊施設は条例で規定されており、一般的には、旅館業法で規定される旅館・ホテル・簡易宿舎、住宅宿泊事業法等で規定される民泊等、宿泊サービスを事業として提供する施設が課税対象となります。ただし、東京都は例外で、旅館とホテルのみを対象としており、 簡易宿舎や民泊等の宿泊者は宿泊税の負担者にはなっていません。大阪府の場合は、「大阪府内のホテル、旅館、簡易宿所、国家戦略特別区域法に規定する認定事業に係る施設(特区民泊)及び住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊施設に係る施設における宿泊者」とされています。
- 宿泊税の金額
宿泊税の課税の仕組みには、税額を一定額に定める定額制と宿泊料に一定の比率を乗じた定率制の二種類があります。大阪府では現在定額制が採用されており、一人あたりの宿泊料金が7,000円以上15,000円未満には100円、15,000円以上20,000円未満には200円、そして20,000円以上には300円が課されています。
(令和7年9月1日の改正後からは5,000円以上15,000円未満には200円、15,000円以上20,000円未満には400円、20,000円以上には500円に変更されます。)
- 最後に
宿泊税は、観光振興や地域の魅力向上を目的に導入されている税金です。一度に支払う税額は数百円と大きくないですが、今回の引き上げにより税収は現在の3倍以上である約80億円にもなるといわれています。
旅行や出張の際には、宿泊費に宿泊税が含まれていることを意識しつつ、その税収が地域の発展に役立てられていることを知っておくと、より意義深いものになるかもしれません。
本コラムが、宿泊税について理解を深める一助となれば幸いです。
参考:
TBS NEWS DIG
「大阪の宿泊税 9月から「最大200円」引き上げへ 1泊5000円以上からが対象に」
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1739384
Yahoo!ニュース
「【速報】大阪府の宿泊税「最大200円引き上げ」決定 1泊「5000円」以上の宿泊が対象に 9月から引き上げ予定」
https://news.yahoo.co.jp/articles/67f95ddc93afe4789e5358dd3fb79fbd45e68022
国土交通省
「第2章 財源の種類と特徴」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001470658.pdf
大阪府
「大阪府の宿泊税」
https://www.pref.osaka.lg.jp/o070070/toshimiryoku/syukuhakuzei/index.html
日本総研
「地方における宿泊税導入の現状と課題」
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/researchfocus/pdf/15192.pdf
大阪の税理士 杉本会計事務所
大阪市東住吉区杭全3-4-4
企業第二課 監査担当 東 寛太郎