外国人労働者の源泉所得税、社会保険等について
日本の人口減少に伴い、外国人労働者の受け入れが拡大しておりますが、外国人を雇用した際の源泉所得税、社会保険等の取り扱いについてご存知でしょうか?
〇源泉所得税
外国人の方であっても、雇用主から給与の支払を受ける際には、原則として、その給与から所得税等の額が差し引かれる(源泉徴収される)ことになります。
この源泉徴収される所得税等の額は、「居住者」に該当するか、又は「非居住者」に該当するかにより異なることになります。
我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、または、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいいます。
「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。したがって、「住所」は、その人の生活の中心がどこかで判定されます。
「居所」とはその人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所とされています。
なお、一定の場合には、その人の住所がどこにあるかを判定するため、職業などを基に「住所の推定」を行うことになります。
「居住者」が支払を受ける給与に係る所得税等の額は、厚生年金保険料などの社会保険料等の額及び配偶者や扶養親族などの数に応じて算出されます。
また、毎年最後に給与の支払を受ける際には年末調整が行われます。
非居住者である親族に係る扶養控除、配偶者控除等の適用を受ける居住者は、その国外居住親族に係る親族関係書類や送金関係書類を源泉徴収義務者に提出し、又は提示する必要があります。
「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。
「非居住者」が支払を受ける給与に係る所得税等の額は、その給与の支給額に一律 20.42%の 税率を乗じて算出されます。
「親族関係書類」とは、下記のいずれかの書類で、国外居住親族が居住者の親族であることを証するものをいいます。
- 戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及び国外居住親族の旅券(パスポート)の写し
- 外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(外国居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居住の記載があるものに限ります。)
「送金関係書類」とは、次の書類で、居住者がその年において国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものをいいます。
- 金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引により居住者から国外居住親族に支払をしたことを明らかにする書類
- いわゆるクレジットカード発行会社の書類又はその写しで、国外居住親族がそのクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が商品等を購入したこと等により、その商品等の購入等の代金に相当する額の金額をその居住者から受領した、又は受領することとなることを明らかにする書類
出身国と日本との間で租税条約が締結されている場合には、所得税等が免除されることがあります。
この所得税等の免除を受けようとする場合には、「租税条約に関する届出書」を雇用主を経由して税務署に提出する必要があります。
なお、この「租税条約に関する届出書」を提出しなかったために、所得税等が源泉徴収された場合には、この「租税条約に関する届出書」と「租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求書(様式 11)」を雇用主を経由して税務署に提出することにより、その源泉徴収された所得税等の還付を受けることができます。
大阪の税理士 杉本会計事務所
大阪市東住吉区杭全3-4-4
業務部法人 第3課 監査担当 加藤隆太